
櫻井よしこ氏【拡大】
アストリッドへの参画は研究資金の提供が柱となるが、日仏間には大きな自然条件の相違があり、フランスの技術の導入が、日本の高速増殖炉の技術開発や核燃料サイクルの完結につながるのか、疑問である。
ちなみに世界の高速増殖炉はもんじゅのループ型と、アストリッドなどのタンク型に大別される。タンク型は液体金属ナトリウムを入れた大きなおけの中に炉心や熱交換器などを浸しているような形だ。ループ型は原子炉を収納した原子炉容器や熱交換器、蒸気発生器などを固定して配管でつなぐ形である。
日本がループ型を選んだのは地震国だからだが、このことは高速増殖炉の特徴である激しい温度差にも関連する。高速増殖炉で使用するナトリウムは入り口で400度、出口で550度、実に150度の温度差に設備全体が耐えなければならない。そのため、タンクの壁はできるだけ薄くする必要がある。厚ければ急激な温度差で破壊されかねない。