
櫻井よしこ氏【拡大】
そもそも原子力規制委員会が突きつけた批判は、もんじゅの基本設計や安全とは関係のない内容だった。東京大学大学院教授の岡本孝司氏は規制委の批判は「車のバックミラーの裏側についたゴミが怪しからんと言っているようなもの」と喝破した。国際原子力機関(IAEA)も今年1月、規制委に対し、能力を高める必要があると厳しい評価を下した。国会には規制委の判断を専門家が監督する仕組みを作る重大な責任がある。
その上で、政治家も客観的な目でもんじゅを見るべきだ。同炉は1995年、性能試験中にナトリウム漏れを起こした。原因は温度計の形状にあったことが突きとめられ、原子炉の安全には全く影響のないことが証明された。それでも15年間、運転をとめられた。
2010年に運転再開で臨界に達したが、今度は燃料交換用の中継筒を落下させた。この種の深刻なミスがもんじゅ不信につながるのは当然である。私は関係者に厳しく猛省を促すものだが、同時にここでフランスの例と日本の例を比較して、自戒したい。