日銀は2%の物価上昇率目標の達成時期を先送りしたにもかかわらず、追加金融緩和を封印した。3月の経済指標に物価基調の下振れリスクが漂うなど、市場では追加緩和への期待が強かったが、1月にマイナス金利政策を導入したばかりでもあり、カードを温存した。
潜在成長力に懸念
28日の会見で黒田東彦総裁は、個人消費に一部弱めの動きがあるとしつつも「企業業績は過去最高水準で、前向きな投資計画が維持されている。所得にも波及するなど好循環が維持されている」と強調した。
追加緩和を見送った背景には、事前に市場で緩和観測が高まっていたことで、黒田総裁の常套(じょうとう)手段の“サプライズ”にならない▽マイナス金利政策の弊害を指摘する声が多く、国債買い増しも限界▽消費税の再増税判断や財政出動を見極める▽今月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で円安誘導政策に厳しい目が向けられた-などの要因もうかがえる。