欧州にとって巨大な中国市場は経済的に重要だが、地理的に軍事的な脅威は直接受けていない。むしろ、ウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合したロシアの方が懸念材料だ。さらに、そのロシアと日本が突っ込んだ対話を続けていることから、日本も欧州の地域事情を考慮すべきだとの認識すらあるとされる。
ところが、今回は各国首脳たちから「力による現状変更や規範の無視は許されない」など首相に同調する声が相次いだ。「G7は共通の価値観を有する国際ルールの擁護者だ」としてこんな力強い意見を表明した首脳もいた。
「海洋の安全保障や力による現状変更への反対には、明白で厳しい姿勢で臨むべきだ」
一方、中国はG7間の微妙な立ち位置の相違を把握しており、経済的影響力をちらつかせて欧州を牽制する。だが、裏を返せばそれは日米が主導する対中包囲網に対する中国の危機感の表れといえる。