【伊勢志摩サミット読売代表撮影】G7サミット・ワーキングセッションに臨む安倍首相(左)とオバマ米大統領=26日午後、三重県志摩市(代表撮影)【拡大】
米国を太平洋国家と位置付けてきたオバマ米大統領にとって、今回のベトナム、日本歴訪は中国の2つの「台頭」とどう向き合うかが隠れたテーマとなっている。世界経済の成長のため経済的な台頭を歓迎する一方、南シナ海の軍事拠点化などの軍事的な台頭を抑えるには微妙な手綱さばきが必要であり、オバマ氏が掲げてきた「アジア・リバランス(再均衡)」政策は正念場を迎えている。
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では26日、各国首脳から南シナ海での中国による軍事拠点化の動きへの懸念が相次ぎ、「航行の自由」確保の重要性を確認した。オバマ氏は25日の安倍晋三首相との共同記者会見で南シナ海問題に関し、「紛争の解決は中国の力にかかっている」と責任ある行動を呼びかけた。
再均衡政策の柱としてオバマ政権が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)やアジア太平洋での米軍プレゼンス強化を進めてきたのは、貿易・投資分野や南シナ海問題で中国に国際法や規範にのっとった行動を促すためだ。米中両政府は経済や安全保障をめぐる懸案を話し合う戦略・経済対話も継続している。