【伊勢志摩サミット読売代表撮影】G7サミット・ワーキングセッションに臨む安倍首相(左)とオバマ米大統領=26日午後、三重県志摩市(代表撮影)【拡大】
南シナ海での「航行の自由」作戦の継続、対ベトナム武器禁輸の全面解除などで対中圧力を強めるオバマ氏だが「伝統的な大国関係の観点から米中関係は今後も決定的に重要」(米誌アトランティックのインタビュー)との基本的な立場は変えない。オバマ氏は今回で10回目となるアジア歴訪に続き、中国が9月に議長国として初めて杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議にも出席する予定だ。
問題は米国の圧力にもかかわらず中国に「力による現状変更」をやめる気配がないことだ。米国では大統領選で共和党の候補指名獲得を確実にした不動産王、トランプ氏が中国製品に最大45%の輸入関税をかけると主張。こうした発言は、オバマ政権下で大国としての自信を失いかけた同党支持者に受け入れられている。
ブッシュ前政権で国務副長官として中国に「責任あるステークホルダー(利害共有者)」になるよう求めたゼーリック前世界銀行総裁はオバマ政権の対中政策を「政権に対中関係全体を導く高官がおらず、対応が後手に回っている」と批判した。(加納宏幸)