安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げを2019年10月に延期する方針を固めたことで、軽減税率の導入など増税を前提にした制度の実施はずれ込む見通しだ。来年4月の10%への増税に伴う駆け込み需要の反動減対策で導入した住宅購入時の負担軽減の税制なども延長されるとみられる。
「常識的に考えれば、そのまま延長になる」
財務省主税局幹部は打ち明ける。軽減税率は消費税率が10%であることが前提であるため、19年10月まで単純に延長される公算が大きい。
小売りなどの事業者は、軽減税率の導入で税率が複数になり、レジや受発注システムの改修が来年4月に間に合わない事態が懸念されていたが、延長により余裕を持って準備を進められる。中小企業対象の改修費の補助制度も来年3月末以降の延長が検討されるとみられる。
納税の不正を防ぐため、請求書に税率と税額を記載するインボイス(税額票)の導入時期は21年4月に予定されているが、制度の周知には十分な期間があるとの見方から、計画通り実行される可能性がある。