安倍晋三首相が消費増税再延期の方針を固めたことで、低迷する個人消費がさらに冷え込み、景気が腰折れする不安は当面回避された。ただ、中国経済の失速を背景に金融市場が混乱するなど、日本経済を取り巻く環境は予断を許さない。政府は次の増税時期となる2019年10月に向け、デフレ脱却の道筋を確実にし、不透明な環境下でも増税に耐えうる経済の体力作りを進めなければならない。
民間シンクタンクは、17年4月に予定されていた増税の延期により、16年度の実質国内総生産(GDP)成長率が従来予想より下方修正される一方、17年度は上方修正されるとみる。増税前の駆け込み需要が消えるが、増税後の反動減がなくなるからだ。大和総研は16年度は0.3ポイント押し下げられ、17年度は0.7ポイント押し上げられると試算。「増税延期は短期的には景気にプラス」(熊谷亮丸チーフエコノミスト)としている。
足下では、個人消費の低迷が予想以上に長引く。14年4月に消費税率が8%まで引き上げられた後、節約志向が強まった上、海外経済の減速で株安が進み「一層消費意欲が冷えた」(内閣府幹部)からだ。