政府が2日閣議決定した骨太方針とニッポン1億総活躍プラン、日本再興戦略には、「名目国内総生産(GDP)600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」実現に向けた意欲的な政策メニューが並んだ。ただ、規制緩和などの環境整備が進まなければ企業の投資意欲は引き出せず、消費税増税の再延期により財政健全化も危うさが増す。政策をスローガンに終わらせないため、政権の実行力が問われている。
安倍晋三首相は、閣議に先立ち開かれた経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、骨太方針などに関し、「『経済再生なくして財政健全化なし』との基本方針に変わりはない」と、改めて述べた。
骨太は経済財政の運営方針の大枠を提示。1億プランは、女性などの社会進出を促す政策を具体化し、成長力の3要素のうち「労働力」の底上げを図る。成長戦略の日本再興戦略は、3要素のうち「生産性」拡大に重点を置く。
ただ、政策の実現に必要なのは、民間企業の協力だ。農業など、政府が成長分野と位置づける産業では、規制で民間企業の参入が阻まれ、活力がそがれているケースが多い。生産性の高い産業への人材集中を可能にする「雇用流動化」などの改革も道半ばだ。
経済成長と「両輪」の財政再建も、消費税増税の先送りで厳しくなった。
骨太では、2020年度に国、地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化する財政健全化目標を堅持したが、内閣府が1月に示した試算では、消費税率を10%に引き上げても、20年度はPBが6兆5000億円の赤字になる。こうした“差額”を埋める歳出削減策は、具体化されていない。