【社説で経済を読む】首相の作戦勝ちだった「増税再延期」 (1/4ページ)

2016.6.6 07:46

記者会見で、消費税増税の再延期を正式表明する安倍首相=1日、首相官邸

記者会見で、消費税増税の再延期を正式表明する安倍首相=1日、首相官邸【拡大】

 □産経新聞客員論説委員・五十嵐徹

 安倍晋三首相が、来年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げ時期を再び先送りし、2019年10月までの2年半、延期すると表明した。

 7月10日の参院選に合わせた解散・総選挙の実施、いわゆるダブル選挙については明確に否定した。

 日本経済は、なお力強さに欠け、デフレ脱却も道半ばだ。景気回復の実感が乏しい中で、増税の再延期を決めた首相の判断に意外感はない。

 各種の世論調査も、再延期を支持するとした回答が6~7割を占めた。影響が懸念された金融資本市場にも、今のところ大きな変化は見られない。

 しかし、首相の決断について各紙の論調は全国紙、地方紙を通じておおむね厳しい。一定の理解を示したのは産経と読売ぐらいではなかろうか。

 産経は2日付社説(主張)で「デフレ脱却を実現するうえで、景気回復が遅れる中での増税実施は困難だと考えたためだ。その判断自体は現実的かつ妥当なものといえよう」と述べた。

 読売も同日付で「アベノミクスは雇用改善などに効果を上げたが、消費のもたつきなどの課題も残る。脱デフレを確実に果たすため、消費増税の先送りはやむを得ない選択だ」と擁護する姿勢を見せた。

「とても納得できる説明ではない」と真っ向から反論

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