記者会見で、消費税増税の再延期を正式表明する安倍首相=1日、首相官邸【拡大】
牽強付会の印象も
これに対し、2日付の朝日社説は、「アベノミクスは順調」とする首相の発言に「とても納得できる説明ではない」と真っ向から反論。5月31日付では「首相はまたも逃げるのか」の見出しで、「(税と社会保障の)一体改革の精神をないがしろにすると言われても仕方がない」と断じた。
毎日も2日付で、「いかにも強引な理屈」であり「国民感情を逆手にとった有権者への責任転嫁」と再延期を批判。31日付では「税と社会保障の将来に大きな影響を与え、これまでの首相の発言ともつじつまが合わない判断だ」と指弾した。
毎日が指摘する「つじつま」とは、安倍首相が最初の増税延期を表明した14年11月の記者会見で、「再び延期することはない。17年4月には確実に引き上げる」と確約したことを指す。
首相はその後も国会での答弁などを通じ、「08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災のような重大な事態が起きないかぎり予定どおり実施する」と繰り返してきた。
それが今回は、「現時点でリーマン・ショック級の事態は発生していない」と認めながらの再延期である。首相は、「世界経済は今、大きなリスクに直面している」とし、そのリスクに備えるための『新しい判断』だと説明したが、やはり牽強付会(けんきょうふかい)の印象は否めない。