記者会見で、消費税増税の再延期を正式表明する安倍首相=1日、首相官邸【拡大】
産経は「当面は増税をしないのだから、国政選挙でその是非を問うても国民から大きな反発は受けまい。そうした安易な見方があるとしたら大きな間違いである」(2日付)と首相の思惑を牽制(けんせい)した。その通りだろう。
だが、先の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の討議を引き合いに出すまでもなく、いずれ首相が再延期にかじを切ることは予想されていた。国会答弁も時系列で追えば、言い回しの微妙な変化に気付く。首相のしたたかな計算が奏功したというのは言い過ぎだろうか。
解せぬ野党の対応
むしろ不可解なのは野党の対応だ。
民進、共産、社民、生活の野党4党は、消費税率引き上げを2度も延期せざるをえないのは、アベノミクスそのものの失敗を意味すると激しく非難。国会の閉幕間際には、内閣不信任決議案を共同で突き付けた。
だが、そのわずか1週間ほど前には、野党第一党の民進党が、19年4月までの再延期を求める独自法案を提出していた。期間は2年と若干短いが、再延期を求めた点では同じだ。不信任決議案は反対多数で否決されたものの、「野党は再延期に賛成なのか、反対なのか、いったいどっちだ」と困惑した国民は少なくなかったはずだ。