雨の中、傘を差して国民投票の投票所へ向かう女性=23日、ロンドン(ロイター)【拡大】
国民投票を前に英ロンドン市内の両替所では、英通貨ポンドをドルやユーロなどの外貨に両替する動きが広がった。投票日の23日にかけ、一部地域で土砂降りの悪天候となったが、投票所には早朝から多くの有権者が詰めかけた。
ポンドを両替する動きが出たのは、離脱の判断が出ればポンドが急落する懸念があるためだ。ロンドン市西部ハマースミスのバスターミナル内にある外貨両替所などでは22日夜、ポンドをドルやユーロに替える市民の長蛇の列ができた。
両替所によると、1週間くらい前から、外国からの旅行客ではなく、英国市民が生活防衛のためポンドと外貨の交換に訪れているという。
一方、南東部などは23日にかけて悪天候となり、ロンドン市内では大雨で河川の水があふれ、道路が冠水するなどの被害が出た。
投票日当日の天候は投票率を左右するとみられている。ただ、中には午前7時の投票開始前から有権者が列を作って投票を待つ投票所もあった。ツイッターには「早朝にこれほど多くの人が並んでいるのはみたことがない」(南西部チェルトナムの男性)などと、投票所の様子を伝える書き込みが目立った。
国民の意見は投票日直前の世論調査でも真っ二つに割れたままだ。金融街を抱えるロンドン中心部などでは、EUにとどまることによる経済的恩恵が大きいとみる「残留派」が大半だ。
対照的に、労働者階級が多いロンドン北東部のヘイバリング地区は、英国内でもっとも「反EU感情」が強い地域とされる。AP通信は、「(EUのルールによって)欧州の漁船が英国にやってきて魚を取るのをみるのはうんざりだ」という離脱支持の鮮魚販売業者の声を伝えた。
(ロンドン 岡部伸)