Satoshi Hirose, Senza titolo (13 Anelli), 2016. Acciaio. ca. 1000 x 1500 xh 350 cm.Courtesy Limiti inchiusi arte contemporanea, Limosano e Fondazione MoliseCultura, Campobasso.Foto: Tartaruga. (c)2016 Satoshi Hirose All Rights Reserved.【拡大】
モリーゼには数百人レベルの丘上都市がたくさんあり、お互いの距離がとても近い。10-20キロ毎に集落が散らばっている。しかも過去、クロアチアやアルバニアなど他国から移ってきた人たちが中心になって住む丘上都市もあり、そこではオリジナルの言語の影響をうけたイタリア語が話されている。イタリアで2番目に小さい州にも、こんなにも多様性が維持されて、異文化が共存している。
20数年のイタリア在住経験を積んできた廣瀬さんも、イタリアの“どうしようもなくある多様性”を認識せざるをえないと、腹の底からあらためて感じた。こうして作品のコンセプトは決まった。
1920年代のファシスト時代の建物を再生した、財団のある建物内のさまざまなところに作品をあえて散在させた。かしこまった美術にはない楽しさを感じてもらいたかったのもあるが、モリーゼに散らばる集落をも再現している。
一番大きな作品はステンレス・スチールのパイプで作った○(リング)だ。合計で13ある。中庭に置かれている。これはパーマネント作品としてコレクションされる。
日本では禅宗の円相のように悟った心のあり方として○が位置付けられる。その解釈は見る人に任されるが、欧州文化における○は完璧の象徴である。異なる文化によって同じ形状も違った解釈をもたらすことを示すのが一つ。また異なる文化を理解するには視点を変える必要があるが、この作品の配置にはその狙いも実現されている。
中庭の低い視点から作品を見るのと、2階のテラスから見るのとでは作品の表情が変わるような○の構成になっている。