国民年金や厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が平成27年度の決算で5兆数千億円の運用損失を計上することが1日、分かった。26年秋から運用割合を増やした株式の価格が下落し、22年度以来5年ぶりの赤字となった。
金融市場は年明けからは円高株安の傾向にある。英国の欧州連合(EU)離脱問題直後は株価が急落するなど市場の先行きは不透明だ。厳しい運用環境が続いており、野党は「将来の年金の減額につながりかねない」(民進党の岡田克也代表)と批判。GPIFが参院選の新たな争点に浮上する可能性がある。
また、野党は運用実績の公表時期を参院選(10日投開票)後の29日に設定していることを問題視しており、民進党の山井和則国対委員長代理は1日、国会内で開いた会合で、「速やかに5兆円の損失が出たことを説明すべきだ」と求めた。
これに対し、萩生田光一官房副長官は1日の記者会見で「デフレから脱却しつつある中、適切な運用を行っている」と反論。公表時期についても「7月中が慣例的に続いていた。恣意(しい)的に動くという誤解があってはならないので、日にちまで明確にした。参院選は関係ない」と野党側の見方を打ち消した。
GPIFは26年10月、年金給付の原資を増やすのを目的に国内債の比率を下げ、高利回りが期待できる国内・海外株式の運用比率を高める方針を打ち出した。ただ、株式市場の変動を受けやすいため、短期間では評価損益の変動幅が大きくなっている。
安倍晋三首相は野党の批判に対して「政権交代後の3年間で約38兆円の運用益が出ている。運用は長期的な視点で行い、短期的な評価はすべきではない」と反論している。