安倍晋三首相が12日に指示する「総合的で大胆な経済対策」は、弱含む国内景気を下支えし、着実にデフレ脱却を図る政府の意識の表れだ。世界経済の不透明感が強まる中、事業規模は政府が当初見込んでいた5兆~10兆円を上回る規模を視野に入れている。財源には財政投融資などを活用し、不足分を補うため4年ぶりに国債の追加発行も検討する。
安倍首相は11日の会見で、経済対策について「成長につながる分野に大胆に投資する」と強調した。月内にも取りまとめることを目指す。対策の裏付けとなる平成28年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する見通しだ。
対策は地方活性化に向けた観光、農業のインフラ整備や防災関連の公共事業が柱だ。クルーズ船が発着できる港湾の整備や観光施設の改修、地方の農林水産物の海外輸出に向けた環境整備に取り組む。また、熊本地震を受け、防災などの公共事業にも力を入れる。安倍首相はリニア中央新幹線の大阪延伸を従来計画から最大8年間前倒しするほか、整備新幹線の建設を加速すると表明した。
対策の規模はこれまで5兆~10兆円と見込まれていた。だが、英国の欧州連合(EU)離脱決定で、世界経済の先行きには不透明感も強まり、国内では景気の腰折れが懸念されている。与党内からは「20兆円」規模の対策を求める声もあり、政府も10兆円超とすることを検討する。
ただ問題は財源だ。昨年度の国の決算剰余金は約2500億円にとどまった。低金利で今年度の国債の利払い費が軽減される分などを含めても、賄えない恐れがある。安倍首相は国が民間に資金を貸し出す財政投融資を活用するほか、公共事業などに使途が限られる建設国債の発行も選択肢として検討する方針だ。