
厳しい表情で記者会見する年金積立金管理運用独立行政法人の高橋則広理事長=29日午後、東京都港区【拡大】
価格変動リスクが大きい株式の運用割合を高めたことが響き、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が平成27年度に約5兆3千億円の運用損失を出した。ただ、超低金利で国内債券中心の運用では収益を上げにくいため、株式などで運用リスクを取らざるを得ない側面もある。GPIFは世界最大級の機関投資家で、市場関係者から「クジラ」の異名を取るが、運用手腕が試されている。
「国内外の株安と円高の影響が大きかった」。SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストはこう語る。GPIFは26年10月に運用資産の構成割合を変更し、国内外株式の目安を計50%に倍増させた。これ以降、年度ベースで運用損失を出したのは初めてだ。
28年度も厳しい運用環境が続いている。6月に英国の欧州連合(EU)離脱が決定すると円高・株安が加速し、日経平均株価は年初来安値を更新。海外要因などに揺さぶられがちだ。
日本国債が大半を占める国内債券での運用も困難さを増している。日銀が1月にマイナス金利政策の導入を決定して以降、国債利回りは急低下。利回りがマイナスの国債を満期まで保有すれば損失を被ることになり、国債の長期保有で得られる利点は狭まっている。