安倍晋三政権が農業分野の規制改革を最優先で進めるのは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を見据え、国際的な競争力を持った「攻めの農業」を実現するためだ。ただ、既得権益を破壊するとして、全国農業協同組合連合会(JA全農)などが強く反発し、選挙で支援を受ける自民党も鈍かった。JAの「聖域」にどこまでメスを入れられるか。
13日の規制改革推進会議の農業作業部会では、生乳の流通改革と農業資材の価格引き下げが検討の最優先課題とされた。
安倍首相が12日の同会議初会合で「全農のあり方を予断なく見直す。生乳にかかる抜本的改革と生産資材、加工、流通構造に関する具体的施策について秋のうちに結論を出す」と表明したためだ。
農業分野の多くの規制は農家の生産力向上を阻んでいる。たとえば、生乳流通の事実上の独占体制は、酪農家による経営努力の意欲をそいできたとされる。そのため、酪農家の所得は増えず、廃業や後継者不在にもつながった。
改革に対する農業団体や自民党農林族の一部の反発は強い。前身の規制改革会議でも、生乳の流通改革を俎(そ)上(じょう)に載せたが、7月の参院選を控え、5月の答申への記載は見送られた。
ただ、自民党も今月から農業改革の議論を始め、11月に具体案をまとめる方針だ。一方、JA側は自主的な改革で軟着陸を図ろうとしており、農業改革をめぐる駆け引きが本格化する。(山口暢彦)