米大統領選の投票始まる 牛肉農家はTPP動向で焦り、日本市場席巻に危機感 (2/2ページ)

 米国の牛肉農家が危機感を強めるのは、最大の輸出先である日本市場を、ライバルのオーストラリア産が席巻しつつあるためだ。日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)は2015年1月に発効。日本は豪州産牛肉に課す関税を38.5%からスーパーなどの店頭に並ぶ冷蔵品は32.5%、ハンバーグなどの加工用に使われる冷凍品は30.5%にそれぞれ引き下げた。

 このあおりで、米国産牛肉の輸入量は15年に前年比で12.3%も減った。牛海綿状脳症(BSE)発生に伴う輸入禁止を解いた05年12月以降、米国産の輸入は順調に回復していたが、10年ぶりにマイナスに転じた。

 日本はTPPが発効されれば、米国産の関税を豪州産と同水準に引き下げると約束している。しかし、米議会指導部は「TPPには欠陥がある」などとして内容の修正をオバマ政権に要求。次期政権の発足まで動こうとしない。米通商代表部(USTR)で対日交渉を担ったカトラー前次席代表代行は「TPPが大統領選の主要な論点になるとは思っていなかった。今の状況を予想できた人はいないだろう」と話す。政争に巻き込まれたTPPの行方は見通せない。(ホワイトサルファースプリングズ 共同)