菅直人元首相、福島原発事故の映画上映会で延々と熱弁 「あと紙一重で私も皆さんも…」 (6/6ページ)

菅直人元首相(斎藤良雄撮影)
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 それに加えて申し上げると、今、日本の中でいろんな議論が改めて起きているが、たぶん福島原発のあの1号、2号、3号、メルトダウンしているが、最終的には更地にするというのが、東電の目標だ。しかし、昨年、チェルノブイリに行って、30年たった原発がどうなっているかというと、最初は石棺、コンクリートで固めたが、30年経ったら、放射能が洩れてきた。そこで、数千億円を世界から集めて、その上に大きな金属のドームをかぶせた。

 じゃあ、その後どうするのか。その後、じっと何十年か、百年か、その状態で、見守っている。とてもとてもメルトダウンした燃料を取り出して、更地にするなんてことは、少なくともチェルノブイリの例をみていると、できない。だから、たぶん日本も、東電はできると今のところ言っているが、私はとても難しいと思う。

 事故を起こさない原発はドイツなどでも、最初に燃料棒を取り出すから、それはできる。ただ、燃料が溶けてしまって、デブリという形になったものを、処理したのは、これまで唯一、スリーマイルの事故で一部あるだけ。しかし、スリーマイルの事故というのは、圧力容器の内側で一部溶けただけで、圧力容器を突き抜けてはいない。

 しかし、福島は1号、2号、3号とも圧力容器を熱で突き抜けている。そして格納容器の底にたまっている。だからもう、それは世界で例がない。

 それが実情だということを申し上げ、今日のトークを終わりたい。(了)