また、ロシアは電子商取引の拡大で郵便物の滞留が問題となっている。日本郵便が国営ロシア郵便に効率的な郵便物の区分け技術を伝えるほか、東芝もロシア郵便に自動処理装置を納入するなど事業を拡大しながら、問題の解消に貢献する。
今回の協力プランの策定で懸案となったのが欧米の経済制裁だ。ロシアの主要エネルギー企業への機器や技術の供与などを制限しており、違反すれば巨額の制裁金を科せられる恐れがある。
世耕弘成経済産業相は「今回の協力プランが制裁に触れないかどうかを入念に確認した」と説明する。
ロシア側が提案したプロジェクトでは、カスピ海など4地域での海底鉱床開発事業や、クリミア半島の対岸にあるタマン半島の道路・鉄道・港湾整備といった案件が制裁に抵触する可能性があり、除外された。
「協力プランは両国経済界の皆様が築いてきたビジネス関係を基礎としながら、ロシア国民も恩恵を受けるものだ」。安倍晋三首相は16日の日露首脳会談の冒頭でこう述べ、意義を強調した。
経済協力は日露の信頼醸成に軸足を置き、領土問題とは表向き切り離した。ただ、実際はロシア国内で親日的な世論を醸成し、プーチン大統領の政治決断を引き出す狙いがある。
日本国内でくすぶるロシアに有利で日本が不利益を被る「食い逃げ」批判を払拭するためには、企業が着実に利益を上げられるよう両政府が事業環境を整備するとともに、協力の成果をロシア国民に積極的に伝えていくなどして領土問題の進展にも結びつける必要がある。