ホワイトハッカーを育成 総務省「ネット通信教育」検討

 総務省が2017年6月にも、サイバー攻撃からの防衛技術を持つ人材を育成するため、25歳以下の学生や社会人を対象にした「通信教育」の開始を検討していることが19日分かった。教育の期間は1年。受講者が貸し出されたノートパソコンを用い、オンライン上で高度な演習を受けて最先端技術を学ぶ初の取り組み。政府は17年度予算で、総務省の既存のホワイトハッカー育成事業などと合わせ、15億円を計上する方針を固めた。

 受講者は毎年数十人の予定。17年初めに面接などで受講者を選抜。合格者に専用のノートパソコンを貸し出し、国内であればどこからでも演習に参加でき、学生は参加費無料の方向で検討されている。経済産業省所管の独立行政法人「情報処理推進機構」(IPA)が中高大学生らを対象に毎年、数日間の育成合宿を各地で実施しているが、遠隔地からの参加が可能なネット経由によるホワイトハッカーを育てる長期のプログラムはこれまでなかった。

 演習では、サイバー対策の専門家が所属する総務省所管の研究機関「情報通信研究機構」(NICT)やソフト大手が協力。NICTの研究者らが講師となり、発電所などの重要インフラや情報漏洩、ネットへの接続機能を持つ家電製品・自動車などを狙うサイバー攻撃を食い止める模擬訓練などを実施する。技術とともに、サイバー犯罪のリスクなどを訴えるモラル教育も充実させる方針だ。演習内容などを外部に漏らさないように、秘密保持契約を結ぶことが求められる。

 修了者はNICTなど官公庁所管の研究機関が積極的に雇用することが検討されている。また、経済産業省と連携して、サイバーセキュリティーの専門家を認定する国家資格「情報処理安全確保支援士」が取得できる方向で協議される可能性もある。