東京株式市場では東芝株が連日で急落し、下げ止まりの兆しが見えない。値幅制限いっぱいのストップ安だった28日に続き、29日も一時前日比25%超下落し、時価総額が大台の1兆円を割り込む場面があった。29日終値に基づく時価総額は1兆962億円で、今回の問題発覚前の26日と比べると、わずか3営業日で7814億円(約42%)が吹き飛んだ計算になる。
米原発事業をめぐって数千億円規模の減損損失の可能性が表面化したことで経営の先行きに対する警戒感が高まり、投資家の売りが止まらない。当面は、安値を探る展開となりそうだ。
29日は、前日に複数の格付け会社が東芝の発行体格付けを引き下げたことで投資家心理の悪化に拍車がかかり、終日大幅安で推移。終値は前日比52円90銭(16.98%)安の258円70銭だった。出来高は6億3875万株となり、東証1部全体の3割弱を占めた。
岡三証券の小川佳紀氏は「27日の東芝の記者会見を受けても損失額の規模がはっきりせず、不透明感を嫌気した売りが続いている」と指摘。損失額が明確になるのに加え、財務面での悪材料が出尽くしたと見なされるまでは、荒い値動きが続くとの見方を示した。