「トランプの米国」外交、経済政策は (4/4ページ)

2017.1.1 05:00

グレン・S・フクシマ氏
グレン・S・フクシマ氏【拡大】

  • フランク・ジャヌージ氏

 要は、選挙戦中の公約の数々が愚かなのだ。

 しかし、トランプ氏のアプローチを孤立主義と誤解すべきではない。彼はレーガン大統領が唱えた「力による平和」の向こうを張ろうと、国防費を増やし、海軍の規模を拡大し、「イスラム国」(IS)を容赦なく攻撃する考えだ。また全ての貿易協定に反対でもない。

 それでも、同盟や多国間貿易協定の価値に疑念を挟み、単独主義のシグナルを送っている。それは、オバマ氏の協調主義路線よりも自己中心的だ。トランプ氏が公約通りに動けば、オバマ氏のリバランス政策は空振りに終わる恐れがある。

 対中政策だが、トランプ氏は中国を為替操作国に指定すると脅すなど、米中関係は起伏に富んだものとなりそうだ。台湾の蔡英文総統と電話会談をし、(一つの中国を原則とする)37年続いた慣習を破った。彼の側近は「現時点ではただの電話」と説明するが、中国には不愉快なことだ。

 こうした対中強硬路線は、オバマ時代に深刻化した北朝鮮の核・ミサイル問題に対処する米国の能力自体に重大な影響を及ぼすだろう。

 一方、金正恩朝鮮労働党委員長との「ハンバーガー会談」に言及したトランプ氏のアプローチは、「ホームラン狙い」にも見えるが、実はオバマ政権の「戦略的忍耐」より効果的かもしれない。

 この点はトランプ氏の「交渉術」に懸けてみたい。

                   ◇

【プロフィル】フランク・ジャヌージ

 FRANK・JANNUZI 1964年生まれ。テキサス州出身。ハーバード大で修士号。国務省で情報分析を担当後、上院外交委員会の民主党上級スタッフなどを歴任。中国、朝鮮半島情勢に詳しい。

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