その証拠に、世界貿易機関(WTO)加盟の有志国が環境配慮製品の関税を削減・撤廃する「環境物品協定」は、中国の強硬姿勢が障害となり目標だった年内の大筋合意を断念した。
中国が「地球に優しい」と輸出拡大を目指す自転車の関税撤廃を欧州が渋ったことや、日米が求めた高効率発電のガスタービンの自由化に自国産業を保護したい中国が難色を示したことなどが混乱の要因という。
パリ協定の実施を裏打ちする詳細なルールは2018年に決まる見込み。温暖化対策の旗手として一躍脚光を浴びる中国が、ルールを自国に有利な内容にしようと動くのは間違いない。
一方、トランプ政権の誕生に慌てる日本は、パリ協定の国内承認手続きで出遅れるなどむしろ存在感を落としている。米国が温暖化対策から撤退すれば、他の先進国とともに途上国への支援金を肩代わりするよう求められる恐れもある。国際情勢の変化を踏まえ、国益を損なわないよう、したたかな対応を迫られる。(田辺裕晶)