
「経団連労使フォーラム」で講演する連合の神津里季生会長=23日午後、東京・大手町の経団連(酒巻俊介撮影)【拡大】
「官製春闘」と表現されるが、労使が汗を流して一生懸命に協議していくなかで、安倍晋三首相が(春闘の結果を)決めるかのような表現はいかがなものか、と考える。ただ、政労使が認識を共有することは重要だ。特にデフレ脱却には賃上げが必要で、そのボールは経済界に投げられていることを、(経営側は)認識する必要がある。
昨年、連合は「底上げ春闘」を強調し、物価上昇がない中でも、賃上げを実現してきた。大手だけでなく中小企業も賃上げを実施し、大手と中小の賃上げ率も差が縮まった。デフレ脱却には昨年のような春闘を継続することが重要だ。
以上を踏まえ、29年春闘は月例賃金の引き上げにこだわっていきたい。経団連は年収ベースでの引き上げを強調するが、経済の好循環の実現という社会的要請に応えるには、月々の賃金を増やすことが欠かせない。中小の月額1万500円の賃上げ要求を経団連は高すぎると否定するが、大手と中小の(賃金)格差を踏まえた要求だ。経団連の加盟企業は注目されている。大企業はグループ会社や系列企業、下請け企業などの賃上げにも目配りしてほしい。