労使双方の平成29年春闘方針がほぼ固まった。景気の好循環を実現するために、労使とも賃上げの必要性では一致したが、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)についてはやや温度差もある。労働組合の中央組織である連合はベアに強くこだわる半面、経営側の指針をまとめる経団連は年収ベースの賃金引き上げを基本とし、ベアには一定の距離を置く。安倍晋三首相によるベア要請を受け、経団連は政府に一定の配慮をする考えだが、今後の労使協議にどう反映されるかは不透明だ。(平尾孝)
経団連は、経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」の最終案を会長・副会長会議で了承し、来週正式決定する。同様に連合も労働側の春闘方針となる「連合白書」を発表した。ともに賃上げは、デフレ脱却を進めるためにも欠かせないとの認識で一致した。
しかし賃上げの手法についてはやや温度差がある。連合は「ベア2%程度を基準として、定期昇給を含め4%程度の賃上げ」を求めた。一方、経団連の経労委報告は「収益が中期的に改善する企業は年収ベースの賃金引き上げ」と明記したが、ベアについては、賃金引き上げの手法の柱と位置付けたものの、具体的な数値目標は示していない。