
自動車メーカー幹部と会談するトランプ米大統領=24日、ホワイトハウス(AP)【拡大】
【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領が米国の製造業復活の“切り札”として口にしている「国境税」が米国の産業界を困惑させている。保護主義的姿勢を鮮明にするトランプ氏は23日の企業トップらとの会談でも、生産拠点を米国外に移すなどした企業には国境税を課すと表明。しかし国境税の詳細は明らかにされておらず、企業側は頭を悩ませるしかない状況だ。一方、共和党は「国境調整」という別の仕組みを導入しようとしているが、トランプ氏との思惑の違いも明らかになっている。
トランプ氏は選挙戦中、生産拠点を移した企業が米国に輸出する際には高い「関税」をかけるとしてきた。しかし大統領選後は「国境税」という言葉を使うようになっている。
トランプ氏は23日の企業トップらとの会合でも、米国で労働者を解雇して米国外に工場を建設し、その工場で作られた製品を米国に輸出する企業は「かなりの国境税を払わねばならないだろう」と強調した。これまでの公約は、大統領就任後も変わらないことを示したかたちだ。
しかしダンピング(不当廉売)などの理由がないまま、特定企業の米国向け輸出にだけ課税することは世界貿易機関(WTO)のルールに違反する恐れがある。トランプ氏は選挙戦中、中国からの輸入にも45%の税金をかけるとしてきたが、こちらも詳細は不明だ。