厚生労働省が2020年の東京五輪・パラリンピックを見据えてまとめている受動喫煙防止対策の強化案を盛り込んだ健康増進法の改正案が今国会に提出される見込みだ。強化案には「医療機関や教育機関などは敷地内全面禁煙」「官公庁や大学、運動施設などは建物内禁煙」「飲食やホテルなどの宿泊施設店などは原則建物内禁煙(喫煙室の設置は認める)」という規制が盛り込まれている。
規制強化に対して、飲食などのサービス業からの緩和要望も根強く、さまざまな立場から議論されている。
全国生活衛生同業組合中央会や日本フードサービス協会などの5つの団体は緊急集会を開き、一律の規制による事業者の経営悪化のリスクを訴えた。緊急集会には国会議員も出席し、活発な意見交換が行われた。
自民党の石破茂前地方創生担当相は、全面禁煙に踏み切ったことで個人事業者が減少したといわれる韓国の例を挙げ、「喫煙者と禁煙者の双方が嫌な思いをしない社会をつくっていくのが第一。その上で事業者を守るために、知恵を出して方法を考える必要がある」と、業界団体の意見にも理解を示し、さらなる議論の必要性を示した。