
未来投資会議であいさつする安倍晋三首相(左)と石原伸晃経済再生担当相=14日午後、首相官邸【拡大】
政府の未来投資会議が14日開かれ、塩崎恭久厚生労働相は2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定で、テレビ電話などによる遠隔診療や、介護ロボットの導入について、医療機関や事業者への報酬を引き上げる方針を示した。
政府は団塊の世代が全員75歳以上になる25年に備え、技術革新を取り入れた医療・介護・予防の仕組みを20年までにつくる考え。情報通信技術(ICT)やロボットの活用は医療費抑制のほか、人手不足が深刻な介護現場の負担軽減が狙いだ。
遠隔診療では、かかりつけ医が対面診療と組み合わせることで、患者の通院の手間が省け、より効果的に健康指導や疾病管理ができると期待される。パソコンを使ったオンラインの診察で生活習慣病の患者を指導したり、血圧や血糖などのデータを送ってもらい重症化を予防したりするケースを想定している。
現状では対面が重視されているため遠隔の報酬上の評価は低い。有効性や安全性に関するデータを蓄積し、20年度以降の報酬改定でもさらに引き上げる。
塩崎氏は介護現場へのロボット導入について、高齢者の生活向上や職員の負担軽減につながるか効果を17年度に検証し、18年度に介護報酬を増やす考えを表明。現場のニーズをロボット開発につなげる「プロジェクト・コーディネーター」を育成し、18年度以降の新たな開発戦略を定める考えも示した。
また、現状では高齢者の要介護度が改善した場合は事業者が受け取る報酬が減るため、改善を報酬に反映させる仕組みづくりを進める。