同大の札幌キャンパスの農場で、実験中のロボットを動かしてもらった。位置情報の受信機や多数のセンサー、内部には周辺を監視するためのカメラが備えられている。周りに障害物の気配を感じると、ブザー音を発して自動停止する。
実験では作業者が同伴し、タブレット型のコンピューターから、姿勢、速度などを制御したが、遠隔操作も可能だ。「数年後には、耕運、整地、代かきなどは夜間の作業も可能になる」と野口教授は予想する。
北海道・石狩川の河口から約40キロ上流。旧美唄川との合流点に950ヘクタールの広大な北村遊水地が広がる。ここが今秋から、完全無人運転の実証フィールドとなる。野口教授は「実用化のためには、研究者、機械技術者、利用する農家など、多様な関係者が連携して試行錯誤を繰り返すことが重要だ」と強調する。これまでも140人の農家で構成する「いわみざわ地域ICT農業利活用研究会」と協力して、さまざまな実験を重ねてきた。
例えば、気象や土壌データを解析することで、病害虫の発生や収穫期、収量を縦横50メートル単位で予測できるという。発育が遅れている場所に多めに肥料を与えるなど、きめの細かい作業が可能になる。
肥料や農薬の無駄を省け、経営を効率化できる上、農薬の過剰な投入を避けることで農産物の安全性や環境保全にも寄与する。北村遊水地では、電波の利用や道路交通法など実際の制約を踏まえて、具体的な検証に取り組む。
◆AIで熟練作業解析
もちろんロボットが全ての農作業をできるわけではない。農機の進歩で作業は効率化しているが、千葉県柏市で大規模稲作を営む染谷茂さんは「田んぼの管理作業は雑になってきている」と嘆く。「稲は人の足音を聞いて育つと教えられた。丁寧な見回り作業が不可欠だ」と指摘する。