カンボジア、背後に中国の影 野党党首逮捕、英字新聞は廃刊 「親米」への弾圧続く (2/3ページ)

 野党党首の逮捕は、単に党首の身柄が拘束されることだけでなく、党の存亡にも深くかかわる。カンボジアでは今年2月、政党法が「党首が訴追され有罪となった場合、その政党は法に基づき解党することができる」と、改正された。明らかに最大野党の救国党をターゲットにしたものだ。実際、この法改正とともに、訴追されていたカンボジア救国党前党首のサム・レンシー氏は辞任、ケム・ソカー氏が新党首に就いた。

 今回の逮捕で、ケム・ソカー党首が有罪とされれば救国党は消滅する。ムー・ソクア副代表は4日、「新代表を任命することは、民主主義の破壊を認めたことになる」と党首交代を否定したが、党が消滅すれば選挙でも戦えないことになるというジレンマを抱えている。

 背後に中国の影

 フン・セン首相の強硬手段は、「親米派」をターゲットにしている。今回の野党逮捕の理由となった「外国との共謀」で、外国とは米国のことだ。フン・セン首相は4日、スピーチの中で「シリア、リビア、イラク。米国が手を貸した国はいずれも状態が悪化している」と指摘するなど、米国批判を随所で強めている。

 野党党首逮捕のほか、フン・セン政権は米系ラジオの放送を制限、米誌ニューズウィークの東京支局長も務めた著名なジャーナリストのバーナード・クリッシャー氏が創設した英字紙「カンボジア・デーリー」を廃刊に追い込んでいる。

フン・セン首相、正念場