
街頭演説を行う希望の党の小池百合子代表=10月10日、東京都豊島区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
日本は閣僚の出席も非常に多い。平成23年の外相は165日だったが、仏、英、独はそれぞれ17日、22日、16日だった。
なぜ、日本が突出して多いのか。背景には、存在感を示したい野党が国会で首相を追及するため、頻繁に出席を求める-という日本独自の議会運営の慣習がある。
これは旧民主党政権下でも同じ。野党だった自民党は当時の首相だった鳩山由紀夫氏(70)や菅直人氏(70)をたびたび予算委員会などに出席させ、攻撃した。
かつて「55年体制」の下で盛んだった「国対政治」では、野党第一党の旧社会党が時の首相を厳しく批判し、乱闘などの派手なパフォーマンスを見せることもあった。与党の自民党は旧社会党の顔を立て、あえて「見せ場」を提供した。野党が法案審議に応じる取引材料として首相の出席を要求する手法は、こうした55年体制を引きずっている面もある。
このため、歴代の首相は年間7カ月前後におよぶ通常国会や臨時国会の会期中、常に外交日程を組む上で制約を受けてきた。
最近では昨年の臨時国会で、こんな出来事があった。
安倍首相が地元・山口県でプーチン大統領との日露首脳会談を控えた12月14日。民進、共産両党などの野党は衆院に内閣不信任決議案を、参院に首相問責決議案をそれぞれ提出した。野党による日程闘争の一環だが、自身への不信任案が出ている首相は、それが否決されるまで国会に縛り付けられる。結局、離京が9時間後に迫った15日午前1時まで出席を強いられた。こんな光景は他国ではなかなか見られないだろう。
首相の負担を軽減させる試みは、これまで行われなかったわけではない。平成11年に成立した「国会審議活性化法」で党首討論を導入し、その後、与野党は月1回の開催を申し合わせた。定期的に党首討論を開催することで、それ以外の首相の国会出席を原則としてなくす狙いだ。
しかし、約束は守られていない。党首討論は会期内に1、2回行われるのが実態だ。先の通常国会に至っては初の0回だった。野党側が加計学園問題などに絞って長時間追及できる衆院予算委員会の集中審議の開催要求を優先したからだ。