【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(51) (1/3ページ)

地方から集まった農民・農業労働者組合の若きリーダーたち。この日は金融システムについての講義を受けていた=2017年9月、ヤンゴン市パンソーダン通りのIPSJ事務所(筆者撮影)
地方から集まった農民・農業労働者組合の若きリーダーたち。この日は金融システムについての講義を受けていた=2017年9月、ヤンゴン市パンソーダン通りのIPSJ事務所(筆者撮影)【拡大】

 ■農地接収問題とNGO

 社会主義時代(1962~88年)からずっと問題になっている、権力による農民からの不法な農地取り上げに関し、テインセイン政権は、2012年8月、「農地等の土地を接収された国民が損害を被らないように調査する委員会」(以下、調査委)を立ち上げた。現政権でも同様の委員会が組織されているが、まだ問題の解決からは程遠いのが現状である。そのような状況の中、17年9月、この問題に草の根で取り組む非政府組織(NGO)を訪ねた。

 ◆5分の1が不法没取

 テインセイン大統領がその任期を終えようとする16年3月17日、土地の接収と返還の現状が国営新聞に発表された。それによると、16年2月29日時点で、調査および告訴状などによって調査委が接収事案と認定して、「中央農地管理利用委員会」(以下、中農委)に付託した件数は1万7708、うち1万3596件が解決済みとなっている。また調査委を通さずに、政府機関経由または直接に中農委に持ち込まれた事案は3702件で、うち解決したのは1197件である。さらには、中農委への告訴状なしに、国軍、政府機関、企業などが直接元保有者に返した案件が979件ある。この三番目の事案には面積も入っており、25万6025エーカー(1エーカーは約0.4ヘクタール)が返却された。なかでも国軍によるものが899件、18万9154エーカーと群を抜く。前二者については、返還された件数と面積の合計値が記されており、2214件、49万5749エーカーが元の持ち主に返された。すなわち、計75万1774エーカーが、一部例外はあるものと思われるが、農民あるいは元農民に返戻された。

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