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□産経新聞論説委員・長辻象平
中国で急成長中の新産業がある。
驚くなかれ、アメリカザリガニ産業だ。水産養殖と飲食業界を潤わせている。中国語でのアメリカザリガニはミニロブスターを意味する「小龍蝦」。今世紀に入ってから養殖産業と消費市場の急拡大が始まり、今も継続中である。
中国水産学会「中国アメリカザリガニ産業発展報告」(2017年)によると、07年に26.55万トンだった養殖量が、16年には85.23万トンに達している。221%もの増大だ。養殖以外の自然界での捕獲分も含めた16年の総生産量は89.91万トン。中国は世界最大のアメリカザリガニ生産国となっているということだ。
その経済規模がまた大きい。飲食店なども含めたアメリカザリガニ産業の16年の総生産額は、1466億元(約2兆4000億円)というから刮目(かつもく)ものだ。産業全体の就労者は、500万人近くにも達している。
南京では、アメリカザリガニ料理の売り上げが全飲食業の売り上げの20~25%を占めている。
1次産業従事者の収入増に重要な役割を発揮していると評価されている。湖南省では、稲作とアメリカザリガニ養殖の一体化を農民の貧困脱却のための重要な手段と位置づけるなど、多くの地方政府はアメリカザリガニ産業の発展を奨励・指導しているということだ。以上は、産経新聞の中国総局を通じて得た情報だ。