今回の中国における設備投資ブームの火付け役は、政府による産業政策である。
具体的にみると、15年5月に発表された製造強国を目指す「中国製造2025」をはじめとして、同年7月にはインターネットを各産業と融合させる「インターネットプラス」政策、16年3月には「ロボット産業発展計画」など一連の産業政策が公表された。政府は、消費や生産の各分野における多様なデータをIoT(モノのインターネット)、センサーなどで収集・蓄積し、ビッグデータやAI(人工知能)などを駆使して分析することで、新規ビジネス創出や産業の活性化を図ることを狙っている。
一連の産業政策が打ち出されると、地方政府による企業誘致が活性化した。液晶パネル最大手の京東方科技集団(BOE)が安徽省合肥市に建設した最新鋭のパネル工場は、工場建設費用として総額460億元かかったものの、同社が負担したのは30億元にとどまり、160億元は銀行融資、270億元を合肥地方政府などが出したとされる。地方間の企業誘致競争は熾烈(しれつ)を極め、破格な誘致条件が提示されてきた。
政府系が巨額資金
また、政府系ファンドが産業政策で示された重点産業に対して、巨額な資金提供してきたことも、過剰投資を招いた恐れがある。例えば、半導体産業に特化した「国家集成電路産業投資基金(ビッグファンド)」は数兆円規模で投資を行っている。