訪日外国人旅行者が増加する中、観光立国を目指す政府は、観光地を中心に外国人に不評な和式トイレを洋式化する取り組みを強化している。日本独特の形状である和式トイレは外国人にとっては使い方が分からず、不潔な印象を与える要因にもなっているからだ。観光地では4割がまだ和式という実情もあり、2020東京五輪・パラリンピックを控え対策は急務となっている。ただ、政府が洋式化にこだわる理由は外国人旅行者対策だけではない。意外な思惑もあるようで…。
訪日外国人にとって、和式トイレは“未知の存在”だ。衛生陶器・住宅設備機器メーカー大手のTOTOが平成26年に在日外国人を対象に実施したアンケートでも、来日当初に日本のトイレで困ったことの第1位が「和式トイレの使い方が分からない」という回答だった。
具体的には「(使う)向きが分からない」(イラン人女性)、「便器に座ってしまうかも」(米国人男性)といった内容で、「日本はいろんなものがキレイなのに、和式トイレを見ると不潔な印象を受ける」(米国人女性)という意見もあった。
TOTOによると、日本人も「洋式派」が増えているといい、便器の出荷数も昭和52年に洋式が和式を上回り、平成27年の和式の出荷量は全体の1%未満にまで減少しているという。使い勝手だけでなく衛生面でも、洋式の方が清掃時に床に菌が広がりにくいという利点があるという。