
日本エネルギー経済研究所常務理事の小山堅氏【拡大】
しかし、イランの石油輸出が大幅に低下すれば、そして、ベネズエラなど他の産油国の供給減少が加速すれば、需給が著しく逼迫(ひっぱく)する可能性がある。またサウジアラビアなどの増産によって、何とか需給が表面的に均衡したとしても、その時には、まさに増産によって余剰生産能力が市場から失われる状況となっている。
しかも、イランの石油輸出が大幅に低下する場合、イランの国内経済は非常に厳しい局面を迎え、保守・強硬派の台頭を招くなど、政治状況の安定も課題となる。その結果、イラン内外をめぐる地政学リスクは大きく高まり、核開発問題や石油輸出の大動脈である地域海峡の安全通行問題をめぐり緊張感が高まる状況となる可能性がある。
この時、市場安定の要、余剰生産能力が失われていることの意味は大きく、油価が大きく上振れする展開が生じ得る。需給逼迫化で油価は80~100ドルへ、そこに重大な地政学リスクの発生が重なれば100ドルを大きく上回る展開の可能性も否定はできない。
貿易戦争で需要減も
逆に、原油価格を下振れさせるリスクとしては、貿易戦争の悪化が世界の注目を集めている。トランプ大統領は、中国を知的財産権の侵害で強く非難し、500億ドル相当の中国からの輸入物品に2段階に分けて追加関税25%を賦課することを決定、実施している。