【日曜経済講座】一帯一路構想と日中経済協力、「覇権」に手を貸す拙速は禁物だ (2/4ページ)

 9月25日、一帯一路を念頭に第三国での日中協力を話し合うため、官民合同委員会の初会合が北京で開かれた。

 5月に来日した李克強首相と安倍晋三首相が設置を決めた委員会だ。10月下旬の安倍首相の訪中に合わせ、協力のあり方などを議論した。

共同記者発表に臨む、安倍晋三首相(右)と中国の李克強首相 =5月、東京・元赤坂の迎賓館 (代表撮影)

共同記者発表に臨む、安倍晋三首相(右)と中国の李克強首相 =5月、東京・元赤坂の迎賓館 (代表撮影)

 例えば、話題に上った事業の一つにタイ政府の東部経済回廊(EEC)開発構想がある。今後、こうした事業に日中政府の後押しを受けた両国企業が相乗りで参加することが想定されよう。

 会合で日本側が注目したのは中国側が「国際スタンダード」を重視する姿勢を示したことだ。日本が求めている事業の開放性や透明性、経済合理性、相手国の財政健全性などのことである。中国によるインフラ輸出では備わっていないことが多い。

 日本は一帯一路を全面支持しているのではなく、国際スタンダードを満たす案件があれば協力するとしてきた。これを認めて歩み寄ろうとする姿から、中国の前向きな変化を評価する声もある。

 だが本当にそうなのか。現状を確認しておきたい。

「債務のわな」