一帯一路の弊害と指摘されるものに「債務のわな」がある。典型はスリランカだ。中国の支援で港湾を整備したが高金利の借金を返すめどが立たず、管理権を中国に渡さざるを得なくなった。中国マネーに頼った代償である。
ここ数年、多くの低所得国が債務を膨らませ、破綻状態か、それに近い状況に陥っている。借り手の責任は当然大きいが、貸し手側の無責任な貸し付けも多い。その代表格が中国なのである。
先進国の政府開発援助(ODA)は国際基準で金利などが決まるが、中国は独自条件で金を出す。透明性がなく採算性の確保も疑わしい。優先するのは経済や外交・軍事上の中国の利益だ。中国企業のひも付きが多く、米シンクタンクの調べでは、中国企業の受注割合は89%だった。
日米欧などの債権国が情報を共有し、低所得国の債務問題などを議論する国際会議にパリクラブがある。中国も加わって然るべきだが、各国から正式加入を促されても入ろうとしない。情報開示などの義務を避けるためだろう。
詰まるところ、問題を改善する具体的な行動が見えないのである。それなのに国際スタンダード重視といわれてもにわかには信用できない。