10月の株価急落、危機の予兆か 世界金融不況から10年、「リーマン級」で懸念の声 (2/3ページ)

リーマン・ショックの相場急落で頭を抱えるトレーダー=2008年9月16日、ニューヨーク(AP)
リーマン・ショックの相場急落で頭を抱えるトレーダー=2008年9月16日、ニューヨーク(AP)【拡大】

 2日の日経平均株価は大幅反発したものの、売り圧力は強い。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「コンピューターを使った自動取引で売り注文が重なり、下げ幅が増幅されている」と指摘する。

 果たして10月の株価急落は新たな危機の予兆なのか。米国株は07年10月にダウ平均が最高値を更新した後、下落基調に転じた。08年9月にリーマン・ショックが発生し、株価が底を打ったのは翌09年3月だ。危機の1年前から既に調整が始まっていたことになる。

 日米は共に来年には景気回復が戦後最長となる見込み。景気が10年周期で好況・後退・不況・回復を繰り返す“景気循環”ではそろそろ後退期にさしかかる。

 例え足元の調整が一時的なものでも、危機の兆しは散見される。リーマン・ショック後の大規模な金融緩和で日米欧の中央銀行が民間金融機関から受け入れた当座預金の残高は7.3兆ドルに達し、巨額の金余りが発生。超低金利下の長期化でリスクが高いハイイールド(高利回り)債に資金が流入しており、景気後退時には売り込まれやすい。

 金余りも縮小傾向

 最大の懸念は中国経済だ。地方政府や企業の過剰債務を抱え金融危機の火種がくすぶるところに、米国の制裁関税がのしかかる。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「19年後半には世界経済が減速局面に入るとみるが、貿易戦争で前倒しになる可能性もある」と指摘する。

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