外国人観光客の増加の一方で、カンボジア人の外国旅行熱も高まっている。観光省によると、今年1~9月に外国旅行へ出かけたカンボジア人は約146万人で、前年同期の約132万人と比べ10.6%増加した。
これを報じた現地紙によると、ある旅行社ではカンボジア国内からの外国旅行が前年比で約30%増加したという。行き先は、マレーシアやシンガポールなど近隣アジア諸国が多いが、ヨーロッパ、オーストラリア、米国、ドバイなど遠隔地に足を運ぶ旅行客も増えている。
また、国内旅行を楽しむ人も増えている。観光省によれば、11月21日から週末を含め5連休となった今年の「水祭り連休」では、カンボジア国内で約92万5000人が地方旅行に出かけた。前年の84万2000人と比べ15%以上の伸びで、国内旅行がカンボジアの人々にとって、より身近になったことを示している。
訪問地で目立つのは、世界遺産アンコールワットなどを抱える北西部のシエムレアプで、ここには水祭り期間中に、前年比18.5%増の約33万人が訪れた。うちカンボジア人は約30万人に上る。また、南部の海岸に近いカンポットも、シアヌークビルに次ぐ海辺の観光地として注目されている。水祭り期間中に約10万人が訪れており、うち約90%がカンボジア人で前年比19%増だった。
エコ旅行に注力
カンボジアにとって観光セクターは、縫製や建築と並んで、国の経済成長を牽引(けんいん)する産業だ。ただ、アンコール遺跡群、サンボープレイクック遺跡、プレアビヒア遺跡の3つの世界遺産、そして海岸リゾート地のシアヌークビル以外には、国内外の観光客を引きつける観光資源の開発が進んでいるとはいえない。