【中国を読む】桁外れのセールも消費市場に陰り…中国の消費市場、今後の行方は? (1/3ページ)


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 中国の個人消費市場をめぐっては近年の電子商取引(EC)の爆発的な普及も追い風となり、高い伸びが続くなど注目を集めている。最近では日本をはじめとする海外製品を取り扱う「越境EC」への日本企業の参入も相次いでおり、消費市場としての中国の存在感はいやが上にも高まっている。ただ、足元ではその勢いに陰りが出るなど変調の兆しもうかがえる。ここでは、今後の中国消費市場がどのようになり得るかを考える。(第一生命経済研究所・西浜徹)

 桁外れのセール

 ここ数年、11月11日の「独身の日」に併せて行われるECサイトのセールでは、1日の売上高が桁外れの規模となるなど注目を集めている。

 このセールは、2009年に大手ECサイトのアリババが始めたが、その後は他のECサイトも追随しており、最近ではこの時期に中国の個人消費が盛り上がる一大イベントとなっている。ちなみに今年、「独身の日」1日におけるアリババの売上高は2135億元(約3兆5000億円)と過去最高を更新した。

 ただ、今年の売上高の伸びは前年比26%と高い伸びとなったものの、前年の同39%を大きく下回るなど、勢いに陰りが出る様子もうかがえる。

 過去数年、アリババの「独身の日」売上高の伸びをみると、EC全体の伸びを上回る展開が続いてきたものの、今年は10月時点の年初来前年比の伸びが25.5%であったことを勘案すると、EC全体の動きとほぼ同じペースにとどまったと捉えられる。この背景には、ECサイト間の競争激化が影響しているとみられる一方、中国の個人消費市場を取り巻く環境の「異変」も少なからず影響している可能性がある。特に米中貿易摩擦の激化が影を落としていると考えられる。

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