対中輸出合戦
昨年に中国が輸入したドリアンの約4割はタイからだった。だが、15年に中国で販売されたドリアンは、果肉400グラムあたり、タイ産が12元(約200円)だったのに対し、マレーシア産の山猫王は200元と16倍以上で、価格とブランド面で差を開けられている。タイの英字紙バンコク・ポスト(電子版)によると、マレーシアに近く生産に適したタイ深南部では、マレーシアに対抗し、来年に3000トンを高品質ドリアンとして対中輸出しようと、農家842軒の2万4216本を対象に、地方政府が音頭をとったプロジェクトが進行中だ。
一方、ドリアンの「本場」を自認するマレーシアも、対中輸出に本腰を入れ始めた。国営ベルナマ通信によると、仲買業者のベホー・フレッシュは、中国の電子商取引最大手アリババグループと、冷凍ドリアンの中国輸出で覚書きを結んだ。現在は果肉やペーストに限定されているが、中国の規制緩和を受け、来年には冷凍して果実のまま輸出ができることになったため、輸出を後押しすると期待されている。
ロイター通信などによると、マレーシアはこうした取り組みで、年間生産量3万トンの約5%(1万4600トン)に留まっているドリアンの輸出について、30年には今より5割増に引き上げる計画だ。昨年のドリアン農園の総面積は7万2000ヘクタール。同国では、資源価格高騰を受けてパーム油を生産するアブラヤシ農園が拡大してきた。だが、過去5年で値段が約4倍に高騰した猫山王ブームを受け、ドリアン栽培に転向する農家も増えているという。