【ASEAN見聞録】マレートラの生息地、中国の“猫”需要が脅かす (3/4ページ)

27日、マレーシアの道路沿いにあるドリアン販売所。客が選んで購入すると、その場で中の果肉を出してくれる。当たり外れも楽しみのうち
27日、マレーシアの道路沿いにあるドリアン販売所。客が選んで購入すると、その場で中の果肉を出してくれる。当たり外れも楽しみのうち【拡大】

  • 27日、マレーシアの「忠誠ドリアン農園」では、ドリアンの実がなり始めていた。来年1月ごろに食べ頃となるという
  • 27日、マレーシアの道路沿いにあるドリアン販売所で売られていた、中部パハン州産の猫山王。果肉を食べるとタネが残る
  • 27日、マレーシアの道路沿いにあるドリアン販売所では、12品種が表示されていた

 環境悪化や値崩れも

 もっとも、ドリアン生産の過熱に、警鐘を鳴らす動きも出ている。

 マレーシア紙スターは10月、同国最大のドリアン産地、中部パハン州のラウブ周辺の自然林約400ヘクタールが、ドリアン農園開発のため伐採され、絶滅危惧種であるマレー・タイガーの生息域を脅かしていると報じた。政府系企業が猫山王の増産のために開発を進めているプロジェクトで、法的に違反はないが、追加で約800ヘクタールも伐採される計画で、隣接する自然保護地域の生態系を脅かすとしている。世界自然保護基金(WWF)マレーシアも、開発区域はトラの生息が確認された地域から外れているものの、隣接しており生息の可能性があると指摘し、懸念を表明した。

 他にも、前出のドリアン農家ハンさんは、「猫山王だけに偏った栽培は、品質低下や値崩れを招き、潜在的なドリアンの顧客を失うことになる」と危惧する。

 ハンさんの父親は1984年、ゴム農園だった土地4ヘクタールを購入し、300本のドリアンを植えた。1990年代に、「D24」という品種が人気となり「1回の収穫で農地代が全て回収できるほどの高値がついた。今の猫山王以上の盛り上がりだった」という。だが、乱作で品質が低下して10年ほどでブームは去り、ドリアン全体の人気も低迷した苦い経験がある。

 欧米からも顧客が

 ハンさんのドリアンは、収穫は年に2回。1本あたり400個ほど実をつけるが、優良な実だけを残して半分ほどを育てる。最もおいしいのは、1キロ程度に成長して成熟し地面に落ちたもの。これを24時間以内に食べる。1時間経過するごとに品質が変化する。顧客は農園を訪れ、さまざまな種類のドリアンを手に取り、アルコールにも似た芳香と、ほのかに苦みのあるカスタードクリームのような味の黄色の果肉を楽しむ。未成熟で木から切られたタイ産の輸出用ドリアンとは「全く違う」と、ハンさんは胸を張る。

「多くの国の人に本物のドリアンを」