高論卓説

ITで治安良くした中国 “マイナンバーカード”普及が成功導く (2/2ページ)

 わが国では、昨年のハロウィーンの際、東京・渋谷で一部の若者が暴徒化して軽トラックを横転させた事件で、防犯カメラの画像の収集や、残された指紋の採取、聞き込みなどにより約2週間後に外国人5人を含む15人を特定し、悪質な4人を逮捕した。この事件で警視庁は43人もの捜査員を投入している。時間も手間もかかっており、画像認識技術の犯罪捜査への応用面では中国に比べると遅れているようだ。わが国の防犯カメラは、中国のように集中管理されているわけではないので、個別にデータを収集しなければならず、人海戦術となる。

 中国では、国民全てがICチップ付きの顔写真入りの身分証明書を所持しており、銀行口座の開設をはじめ、社会生活を送る上の基盤となっている。身分証明書がなければ、航空機や高速鉄道の利用もできない。

 政府が運営している「信用中国」というサイトでは身分証明書のデータベースを基に、交通違反や借金の踏み倒しなどを、重ねて行う悪質なルール違反者の氏名を公開している。プライバシー保護の面での懸念はあるが、安全な社会を築く上での必要性を評価する人も多い。実際、社会全体のマナー向上という効果も表れている。

 わが国でも類似のICチップと顔写真付きの「マイナンバーカード」は導入済みだが、交付率はいまだ1割程度にすぎない。利便性の高いインフラが構築されているのに、有効活用されていないのはもったいない話だ。マイナンバーカードを持っていないと損をする仕組みをもっと増やすなどして、普及促進を図るべきではないだろうか。

【プロフィル】森山博之

 もりやま・ひろゆき 旭リサーチセンター、遼寧中旭智業研究員。早大卒後、旭化成工業(現旭化成)入社。広報室、北京事務所長などを経て2014年から現職。大阪府出身。

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