高論卓説

米中貿易戦争、日本への余波は 米議会の動きでその動向を知る (1/3ページ)

渡辺哲也

 「再輸出」禁じる米技術規制、日本に影響大

 現在、貿易摩擦をめぐる米中経済協議が行われている。これは米中間の貿易不均衡などを正すことを目的としたもので、大きく分けて一つは貿易赤字の解消、もう一つは中国の非市場主義的な制度を改革させ、知的財産権の保護や為替の最終的自由化、資金移動の自由を求める構造協議ということになる。

 それに対して、中国は全人代で「外商投資法」を成立させ、米国の要求に一定の譲歩をした形になっている。しかし、米国は協議に当たり、過去における中国の対応は非誠実で全く守られてこなかったとして、違反行為があれば、中国に対して一方的に制裁をかけることができる条項を設けることも要求している。これに中国は反発しており、最終合意できるかは不透明な状態である。

 多くのメディアでは、これを一方的にトランプ大統領が仕掛けているように報じているが、実は対中姿勢に関しては議会の方が強硬であり、議会はトランプ政権に対して、さらに厳しい要求をしている。米議会では毎年、国防権限法(NDAA)というものが作られる。これは翌年以降の防衛方針と予算が一体化した法律であり、議会からの行政府であるホワイトハウスへの命令書のようなものである。現在、世界的問題になっている華為技術(ファーウェイ)問題もNDAAが使用を禁止するように求め、同盟国への働きかけを求めたことが原因なのである。

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