軍事ワールド

GSOMIA破棄も… 韓国・反日の裏にある歴史的「中国恐怖症」 (2/3ページ)

 「三不一限」の誓い

 韓国の恐れぶりを端的に示すのが米軍のTHAAD配備問題だ。朴槿恵(パク・クネ)政権時の2016年7月、韓国東部の慶尚北道(キョンサンプクト)星州(ソンジュ)郡への配備を決定するや、中国は強力な制裁を始めた。韓国への団体旅行を制限し、配備地(ロッテ経営のゴルフ場)を提供したロッテを排斥。中国国内に99店舗あった大型スーパー「ロッテマート」は消防法違反を理由に営業停止を命じられるなど強硬措置を受け軒並み閉店。18年5月には店舗施設を中国企業に売却し撤退させられた。対中輸出も減少し、経済は悪化した。

 左派の文在寅政権になっても中国の韓国向け団体旅行は事実上禁止されたまま。そんななか2017年11月に訪中した康京和(カン・ギョンファ)外相は、屈辱的な要求を飲まされた。それが現在「三不一限」と称されるものだ。

 (1)THAAD追加配備中止(2)ミサイル防衛(MD)不参加(3)韓米日の安保協力を3カ国軍事同盟に発展させない、の3箇条。いずれも中国語表記では不可を意味する「不」が入るため「三不」と呼ばれる。これに「THAADの運用で中国の利益を損なわないよう制限を設けなくてはならない」の「限」を加え三不一限と呼ばれる。

 日米韓に亀裂を

 THAADの高性能レーダーの探知エリアが中国本土にまで及ぶこと、中国の核搭載弾道ミサイルの「無効化」などを警戒する中国の要求だが、なかでも(3)の安保協力を軍事同盟に発展させない、という項目は見逃せない。中国から見れば、まさにGSOMIAは「3国軍事同盟」の第一歩であり、看過できるわけがない。

 奇しくもGSOMIA破棄の直前の21日には日中韓外相会談に併せて中韓外相会談も行われた。この話し合いで中韓がGSOMIAについて触れなかったと考えるのは不自然だろう。

 一方、韓国にとって三不一限は屈辱以外の何ものでもない。日本や米国などの第三国との外交について、中国という他国から命令され制御される…。外交権を献上する属国的な行為に見える。「民族の誇り」とは真逆のふるまいだ。

 ところが韓国では三不一限を殊勝に守ってきた。星州の元ゴルフ場のTHAAD配備基地ではデモ隊が道路を封鎖し基地の設営ができず、米兵は元クラブハウスの老朽化した狭い建物での生活を強いられ、THAAD運用に必要な電力を供給する発電機の燃料をヘリで空輸する事態に。今年8月にはようやく改装工事に着手するとのニュースが地元紙などに流れたが、工事の内訳は「カーペットを敷き冷暖房施設を整備し小型シャワーを設置する」というもの。現状の酷さがよくわかる。

 表向きは環境影響評価が完了していないことを理由にTHAAD基地の施設完成を事実上サボタージュしてきたといえるが、これもTHAAD運用で中国に命じられた「一限」の範疇だ。

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