高論卓説

プライバシー保護で世論二分 中国が目指すデジタル社会の課題 (3/3ページ)

 また8月末にはSNSを手がける中国の会社が、AI技術をベースにした「ZAO」というユーザーの顔写真をドラマなどの人物に変える顔交換アプリをリリース。すぐに話題となってダウンロード数が急増したが、「写真データの取り消しは不可能で、譲渡可能な形でZAO側に帰属する」という利用規約にユーザーの不安と批判が急増。政府機関である中国工業情報化省が規約修正のリクエストを出すほどの騒動になった。人気を博したアプリがその直後にプライバシー問題で、これほど批判を浴びたのは初めてのことかもしれない。

 中国が目指すデジタル社会の青写真では「利便性と効率性」が重要な要素とされているが、それに加えてプライバシーとのバランスをどう保つかが重要な課題となりつつあるようだ。

【プロフィル】趙●琳

 チョウ・イーリン 伊藤忠総研産業調査センター主任研究員。2008年東工大院社会理工学研究科修了、博士(学術)。早大商学学術院総合研究所、富士通総研を経て、19年9月から現職。中国遼寧省出身。

●=偉のにんべんを王に

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