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ラベルのないペットボトル飲料が増えているのには理由があった (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 お茶やミネラルウォーターなどのペットボトル飲料のラベルをなくした「ラベルレス」商品が次々と登場し、売り上げを伸ばしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出自粛やテレワーク(在宅勤務)が広がり、ペットボトル飲料を段ボールケースで箱買いする人が増加。プラスチックごみを削減できるだけでなく、分別時にラベルをはがす手間がかからないため人気を集めているようだ。商品の“顔”となるラベルはないが、ペットボトルの形状を工夫したり、お茶の味や色に磨きをかけたりと、飲料メーカー各社は不断の技術革新を重ね、しのぎを削っている。

「緑でないものまで緑に見えるほど」開発に没頭

 伊藤園は今月16日から「お~いお茶 カフェインゼロ ラベルレス」をケース販売限定で発売する。同社は世界初の緑茶飲料「缶入り煎茶」やペットボトル入り緑茶、業界初のホット対応ペットボトル製品などを生み出してきた嚆矢(こうし)だが、ラベルレス飲料市場への参入は早くはなかった。ラベルをなくすことで中身のお茶にそのまま光が当たってしまうため、光による品質劣化の懸念があったという。

 そこで「お~いお茶」ブランド初のラベルレス商品には、ペットボトルに工夫が施された。全体に細かいギザギザの溝を入れたのだ。同社の広報担当者は「ラベルレスのペットボトルは線を入れた形状になっており、光を乱反射させることで中身を守っています」と胸を張る。

 ペットボトルのお茶に並々ならぬこだわりを見せるのは伊藤園だけではない。サントリー食品インターナショナルは今年4月、主力商品のペットボトル緑茶「伊右衛門」を大幅にリニューアル。開発に携わった商品開発部の上本倉平さん(34)は「鮮やかな緑とお茶の香り、味わいをどう両立するか。それが最大のポイントでした」と明かす。

 渋みの主成分となるカテキンを茶葉から多く抽出すれば、お茶の味わいを出すことはできるものの、カテキンの抽出量を増やせば茶色味が強くなり、鮮やかな色合いは失われていく。一方を優先させると他方が損なわれる「トレードオフ」の関係にあった。開発陣は抽出温度や抽出時間を変えながら約300回も試作を繰り返すことになった。1年余りの開発期間を経て、カテキンの抽出量を抑えつつ、うまみ成分のテアニンを多く抽出することに成功。京都の老舗茶舗「福寿園」の茶匠、谷口良三氏が厳選した茶葉で「火入れ」と呼ばれる焙煎を行い、鮮やかな緑とお茶の香り、味わいを両立した新たな「伊右衛門」が生まれたという。

 緑茶の色を消費者にダイレクトに伝えられるラベルレスの「伊右衛門」を4月と8月に数量限定で発売。このラベルレス商品はコンビニエンスストアで店頭販売されたため、原材料などを記載した首掛式の小さなラベルが取り付けられた。さらに、今月3日からは24本入りの「伊右衛門 ラベルレス」を発売。こちらは段ボールケースに原材料などを一括表示したため、ペットボトルの完全ラベルレスが実現した。

 「緑でないものまで緑に見えてしまうことがあったほど開発にのめり込んだ」という上本さん。「ラベルレス商品の発売で鮮やかな緑色に生まれ変わった伊右衛門に気づいていただく機会も増え、頑張った甲斐があります」と話した。

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